家族の一員である愛犬とのお別れにどのように向き合う?長生きの秘訣とは?

家族の一員である愛犬とのお別れにどのように向き合う?長生きの秘訣とは?

愛犬はともに過ごす時間が長く、家族の一員として大切に育てている家庭も少なくありません。だからこそ、「長生きをしてほしい」と願い、飼い主としてできるだけのことをしようと考えるものですよね。しかし、生きている時間は永遠ではなく、いずれお別れをしなければならない日が訪れます。「大切な愛犬がいなくなることは考えたくない」と思うのは当たり前の感情ですが、同時に大切な愛犬だからこそ、お別れのときのことも考えておく必要があるのです。この記事では、「犬の寿命」「長生きするにはどのような秘訣があるのか」「愛犬とのお別れが近いときの症状」「愛犬とのお別れの際、どのようなことをしなければならないのか」などについて紹介します。

 

犬の寿命はおよそ12~15歳!


犬の寿命は大きさや種類によっても違いますが、全体の平均ではおよそ12~15歳です。小型・中型犬は10歳前後、大型犬は6~7歳頃で「シニア犬」と呼ばれるようになります。犬は2歳で、すでに人間の24歳ほどになっており、その後は1年で4~7歳ほど年をとっていくのです。しかし、近年、犬の寿命は延びているといわれています。「ドッグフードの質が良くなり、栄養豊富になった」「動物病院が充実し、獣医師の技術が発展した」「室内で飼われている犬が増えた」などが寿命が延びている理由です。

ちなみに、日本でも世界最長寿の犬としてギネス記録を持っていた雑種犬がいました。2011年に老衰で長い「犬生」を終えたその犬の年齢は26歳9カ月(人間でいえば125歳以上)と、平均寿命をはるかに超えていたことから話題になっていたのです。世界に目を向けると、30歳以上生きた超長寿犬も存在しています。

 

愛犬に長生きしてほしい!秘訣を知っておこう

愛犬に「いつまでも元気で長生きしてほしい」と願う気持ちは、飼い主であれば1度は感じたことがある感情ではないでしょうか。こちらでは、愛犬に長生きしてもらうための秘訣について紹介します。

  1. 年齢に合わせたフードで必要な栄養素を補給
    犬の健康はご飯と深く関わっています。年齢に合わせたドッグフードを適量与え、しっかり散歩をさせるというのが長生きするための基本です。市販のフードは子犬用、アレルギー用、シニア犬用など年齢に合わせたものがあるので、そういったものを与えるのも良いでしょう。年齢別のフードは、その年齢に必要な栄養素をバランスよく配合しているので、健康面にも有効です。たとえば、子犬の頃は成長期なので高カロリーのフードが必要ですが、シニア犬になると運動量が減るので高カロリーなフードは必要ありません。まだ若い成犬には良質なタンパク質を積極的に摂取し、肥満防止の意味でも脂質や炭水化物は控えましょう。
  2. 体調を見ながら運動しよう
    愛犬の散歩を毎日している飼い主は多いかもしれませんが、「散歩だけで充分運動できている」と考えてしまっている場合が少なくありません。犬は医学的に3歳から老化の第一歩を進んでいることがわかっており、それを防ぐためには散歩だけではなく、運動もプラスして筋肉を鍛えることが大切です。もちろん、無理な運動や散歩をするのではなく、愛犬の体調や年齢に合わせて行います。シニア犬になると運動量は減り、筋肉が衰えて関節炎や脱臼を起こしやすくなるため、若い頃からしっかり運動をしておくことが重要です。運動や散歩は、適切に行なえば肥満の防止にもなります。肥満は関節炎だけではなく、心臓病や糖尿病、呼吸器疾患の原因にもなるので注意が必要です。

 

 

愛犬の様子がおかしい?犬が死ぬ前に見せる予兆とは


犬は死ぬ前にさまざまな予兆を見せます。そういった行動をしたときには、慎重に様子を見ておくほうが良いでしょう。

  1. 食欲が極端に落ちる
    シニア犬は若い頃より運動量が減るので、食欲に影響が出やすいです。フードを食べるときにもエネルギーを使っているため、体力が落ちてしまうとフードを食べるだけで疲れてしまいます。少量であってもフードを食べたり、歩きまわったりできる状態であれば、加齢が原因で体力が落ちているだけである可能性が高いです。ただ、まったくフードを食べなかったり、水分もとらなくなったりしたときは愛犬に何らかの体調の変化が起きているということなので、こまめに様子を見ておくのが良いです。しかし、犬は飼い主の感情に非常に敏感なので、過剰な心配をしているとそれを感じ取ることがあります。優しく声をかけたり、撫でてあげたりと普段通りの行動をしながら様子を見るようにしましょう。
  2. 寝ている時間がいつも以上に長くなる
    シニア犬は若い頃と比較して眠っている時間が長くなりがちですが、それでも1日中眠っているわけではありません。飼い主に甘えに来たり、体を伸ばしたりと1日のどこかのタイミングで体を動かす時間が必ずあります。もし、動くこと自体を嫌がるようなときは、動くと体に負担がかかるのが原因になっている場合もあるので要注意です。体を動かさない状態が続くと床ずれができることがあるため、寝ている体勢を変えたり、タオルなどを敷いてあげたりするのがおすすめです。
  3. 呼吸が浅くなる(不規則になる)ときは要注意
    犬はお別れが近づいたときに、呼吸に変化があります。苦しそうに息をしている場合や呼吸が浅くなる・深くなるなど不規則になった場合は要注意です。

 

愛犬とお別れの時間が近づいたら看取る方法を考えておこう


「愛犬はまだ生きているのに、死ぬときのことなんて考えたくない!」と感じるかもしれません。しかし、いざとなったとき、「ああしてあげればよかった」「こうしたかった」と後悔するケースもあります。長年一緒に過ごしてきた愛犬だからこそ、看取り方を考えておくことも大切なのです。

  1. 自宅もしくは病院で看取るケースが多い
    看取り方は「普段過ごしている自宅」「いざというときにすぐ対処できる病院」を選ぶことができます。そのほかにも、愛犬とお別れする際に一緒に過ごしたい場所などがあれば、その場所で看取ることも可能です。
  2. あらかじめ看取った後に必要なものを準備しておこう
    自宅で看取る場合は、最期のお別れをした後に安置する場所の確保やお棺の用意、季節によっては保冷剤なども用意しておく必要があります。ペット用のお葬式や火葬を依頼するのであれば、すぐに連絡をできるようにペット専用の葬儀屋を見つけておかなければなりません。病院で看取る場合は蘇生・延命措置をすぐに行うことができ、常に愛犬を看てくれる人がいるので安心です。ただ、自宅にしても病院にしても、場合によっては愛犬の最期を看取ることができない可能性もありますよね。万が一、そのような状況になったとしても、愛犬をきちんと見送ることができるように心の整理をすることも大切です。

 

犬は死亡届の提出が義務づけられている

愛犬を看取った後、飼い主は「死亡届」を自治体や役所に提出する必要があります。犬を飼い始めるときには届け出をしますが、死亡した場合は死亡届の提出が必要です。死後30日以内に必ず届け出をしましょう。「届け出くらいしなくても大丈夫だろう」と考える飼い主もいますが、死亡届を提出しなかった場合、毎年行っている狂犬病予防注射のハガキが届きます。狂犬病予防法では、飼い犬に狂犬病予防の注射をしなかった場合、違反行為として20万円以下の罰金刑となることが定められているので注意が必要です。愛犬とお別れして間もない時期なので辛い気持ちもあるかもしれませんが、死亡届の提出や葬儀をすることは愛犬とのお別れに気持ちの整理をつける1つの機会にできます。

  1. 死亡届提出時は鑑札や狂犬病予防注射済票を忘れずに
    死亡届の提出時は、「愛犬の鑑札」「狂犬病予防注射済票」を持っていかなければなりません。死亡届は自治体や役所などにあるので、「死亡届を提出したい」と言えば渡してもらうことができます。直接行くことが難しい場合は、自治体・役所のホームページから死亡届をダウンロードできることがあるので確認してみましょう。印刷した申請書に必要事項を記入し、郵送します。申請書には飼い主の住所と名前、愛犬の死亡年月日、登録番号の記載が必要です。
  2. 血統書つきの犬の場合は血統書の返却が必要
    愛犬が血統書つきの犬だった場合、登録している団体に死亡報告を行ったうえで血統書の返却をしなければなりません。
  3. 埋葬はどうしたら良いの?
    愛犬の埋葬に関しては、一般的に「自宅の敷地内に埋葬する」「ペット専用の霊園などで埋葬する」という方法があります。ペットの埋葬に関しては、自宅の敷地内や飼い主の所有地であれば法律違反になることはありません。しかし、それ以外の場所に埋葬した場合は不法廃棄となり、5年以下の懲役もしくは罰金刑を科せられる場合があるので注意しましょう。また、自宅の敷地内に埋めた場合、「引っ越しなどでその家から離れる場合に次の所有者との間でトラブルになりかねない」という問題もあります。敷地内に埋葬する場合は引っ越しなどをせず、ずっとその家に住み続けるつもりでいましょう。
    ペット霊園を選んだ場合は、火葬後に納骨もしくは埋骨です。納骨とはお墓もしくは納骨堂に骨を納めること、埋骨は土の中に骨を埋めることをさします。ちなみに、自宅で埋葬する場合は遺体をそのまま埋める土葬もしくは埋骨という形になることがほとんどです。ペットは火葬された後、骨壺に骨を納められますが、その後は四十九日が過ぎるまで手元に置いてから納骨するか火葬後すぐに納骨堂やお墓に納めます。また、大切にしていた愛犬を手元でも供養するために、骨の一部を小さな骨壺に納め、分骨するのも1つの方法です。

 

ペット専用の仏壇を用意することもできる

愛犬の骨を分骨して、手元でも供養する場合、ペット専用の仏壇や仏具などを用意することもできます。人間用の仏壇は先祖のために用意するため、大きなサイズのものが多いですが、ペット専用の仏壇はタンスや棚の上など、小さなスペースに置くことも可能です。骨壺を仏壇の中に納めることができたり、愛犬の写真を仏壇の扉部分などにはめこんだりすることができます。洋風タイプ・和風タイプとさまざまなものがあるため、生前の愛犬のイメージや部屋に置いてあっても馴染むようなものを購入するのも良いでしょう。

ペット専用の仏具や骨壺・骨壺カバー、ペット専用の線香などもあるので、愛犬が静かに眠れるように自宅でいつでも供養をできます。引っ越しなどをする際にも持ち運びしやすいので安心です。ペット専用の仏壇の価格は4000~2万円ほどで購入できます。手元供養の方法の1つとして、位牌を作ることも可能です。クリスタルなどに愛犬の写真、名前、メッセージなどを刻み、デスクやテーブルなど、いつでも見ることができる場所に安置するのも良いのではないでしょうか。

 

ペットロスから立ち直るにはどうすべきなの?


愛犬が死ぬという経験をした飼い主の中にはペットロスになってしまう人もいます。ペットロスとは、家族のように大切にしていたペットを亡くした後、その悲しみや喪失感から立ち直れなくなってしまうことです。人によっては、精神だけではなく、体調に影響がでる場合もあります。「大切にしていたからこそ悲しい」「ずっと一緒に過ごしていた存在が急にいなくなったのだから喪失感を感じるのは普通のこと」など、愛犬を亡くした悲しみを認めることはペットロスから立ち直るために非常に大切なことです。

もし、可能であれば、愛犬を亡くした気持ちを話すことができる誰かを作るのが良いですが、近くにそういう人がいなければ、愛犬に手紙を書くのも良いでしょう。ペットロスから立ち直る一歩は、自分の気持ちを話したり、書いたりして整理することから始めましょう。泣きたいときには思いきり泣くことで逆に気持ちが落ち着きやすくなります。ペットロスになったときは現実を否定したい気持ちや「助けることができなかった」「もっと何かできたのではないか」という自分への怒りの気持ちなどにあふれており、立ち直ろうとしてもそれが難しい場合もあるのです。しかし、時間の経過とともに現実を見て、ようやく気持ちの整理ができるようになります。ここまでのステップにどれくらいの時間がかかるのかは個人差がありますが、自分の気持ちを無理やり押し殺すのではなく、認めて開放してあげるようにしましょう。

 

 

「愛犬とのお別れ」そのときどうしたらいいの?


飼い主の多くは「愛犬といつまでもずっと一緒にいたい」と考えているのではないでしょうか。しかし、命あるもの、いつかお別れのときは訪れます。犬の寿命は12~15歳といわれており、死ぬ前には食欲をなくし、寝る時間が極端に増えて動きたがらないなどの前兆を見せることも多いです。飼い主として愛犬を最期まで看取り、死後の手続きなどもしっかり行いましょう。犬は死亡届を提出する必要があるため、死後30日以内に提出しなければなりません。提出先は飼うときに届け出をした自治体・役所です。犬は飼い主の所有地であれば土葬・埋骨をすることが可能ですが、もし、引っ越しなどをする予定がある場合はペット霊園や納骨堂の利用を考えるのも良いのではないでしょうか。ペット専用の仏壇や仏具などもあるので、自宅で愛犬の供養をする際に用意することもできます。