トイレトレーニングから無駄吠えまで・愛犬のしつけ方のポイントとは?
犬を飼う際に必ず行わなければならないことが、しつけです。きちんとしつけをしないとワガママな犬になってしまい、一緒に生活するのが困難になってしまいす。また、しつけと言うと犬の自由を束縛するものと思いがちですが、実は犬との信頼関係を構築する上でも必要なことなのです。しかし、どのように犬をしつけていけばよいのか、悩んでいる人も多いのではないでしょうか。また、いつからしつければよいのか分からないという人も。そこで、犬のしつけをスタートさせる時期をはじめ、トイレトレーニングの仕方、「待て」などの命令コマンドの出し方、無駄吠えの防ぎ方を紹介します。しっかりしつけて、愛犬との生活を快適で豊かなものにしていきましょう。
犬にしつけが必要な理由とは?
犬にしつけが必要な理由とは、人間社会に上手に溶け込みトラブルを起こすことなく暮らしていくためです。例えば、犬が無駄吠えをすると、近所迷惑になり住みづらくなるかもしれません。また、散歩している最中に犬が通行人に怪我を負わせると、飼い主に損害を賠償する責任が出てきます。さらに、室内で犬を飼う場合は決められたところ以外でトイレをされると、掃除が大変になるでしょう。
そもそも犬の社会はタテ社会です。人間と共に暮らしていてもそれは変わりません。犬はもともとの本能で自分よりも立場が上と見なした者の言うことには従います。しかし、自分よりも下と見なすと言うことを聞かなくなります。そのため、飼い主が上の立場になることが必要になります。そこで、必要になるのがしつけです。適切なしつけをすることで上下関係を構築することができ、犬は飼い主を上だと見なすようになります。そして、さらにしつけがしやすくなるという好循環が生まれるのです。
犬のしつけをスタートさせる時期とは?
愛犬のしつけをいつから始めたらいいのか悩む人は多いでしょう。成犬になってからしつけを行うのは遅いとされています。なぜなら犬に悪い習慣やクセがついてしまうと、それを治すには時間と手間がかかるからです。飼い主だけでは治すことはできず、犬の専門家の手を借りる必要が出てくるかもしません。そうなると、お金がかかってしまいます。
犬はまだ悪い習慣やクセがついていない子犬のうちからしつけるのが一番なのです。とはいえ、生まれてすぐにしつけを行うのもNGです。なぜなら、生まれてすぐだと脳が未発達のため、飼い主がいくら犬に言い聞かせても理解することができないからです。犬の個性や犬種によって差はありますが、一般的には生後2~3カ月に始めるのがよいと言われています。それまでは、しっかりと愛情を注いで人に慣れさせておくようにしましょう。
ただし、名前を覚えさせることだけは3カ月未満で始めてもかまいません。なぜなら、飼い主と犬の信頼関係を構築するためには名前を呼ぶのが一番だからです。その際、家族によって犬の呼び方を変えないことも大切です。例えば、子供が「太郎」と呼んでいるのにも関わらず、お母さんが「太郎ちゃん」と呼んでしまうと、犬はどちらが自分の本当の名前なのだろうと混乱してしまいます。そして、自分の名前を覚えるのに時間がかかってしまうのです。
犬のトイレトレーニングのポイントとは?
しつけを行う時期になったらまず始めたいのが、トイレトレーニングです。あたりかまわず排泄をされると、部屋を掃除するのが大変になります。また、犬が病気の場合、犬の糞から寄生虫が出てくることもあります。場合によっては、寄生虫を介して人間が悪い病気に感染してしまうことも。そのため、決まった場所でトイレをさせることが大切なのです。
まずはトイレの場所を決めます。このとき重要なのが、どこにトイレを設置するかです。多くの飼い主が犬のトイレ、ベッド、食事する場所を一ヵ所にかためてしまいます。しかし、犬はきれい好きです。そのため、寝たり食べたりするところで排泄をしたいとは思わないのです。場合によっては食事する場所の近くで排泄したくないばかりに、トイレではない場所で排泄してしまうこともあります。トイレは、ベッドや食事をする場所とは離れたところに設置することをおすすめします。
トイレを設置したら、その場所で排泄することを教えましょう。まず、犬はトイレに行きたくなると、くるくると回ったり、フローリングの匂いを嗅いで排泄する場所を探したりします。こうした排泄のサインが見られたら、犬をトイレに連れて行くようにしましょう。そして、犬が排泄している最中に「しっし」と言葉をかけます。これを繰り返すことで、犬は「しっし」=排泄することだと理解できるようになります。トイレで排泄することができたら、犬をほめてあげてください。すると、犬は決まった場所でトイレをすることは良いことだと理解します。犬が誘導しなくてもトイレに行けるようになったら、トイレトレーニングは完了です。
「おすわり」などの命令コマンドを教える理由とは?
犬の散歩デビュー前に必ずやっておきたいしつけがあります。それは「待て」「おすわり」「ふせ」という命令コマンドに素直に従うようにすることです。例えば、散歩中、犬が道路に飛び出しそうなとき「待て」と命令します。「待て」のしつけができていると、犬は車に引かれるなどの危険な目に遭わずに済みます。また、他の犬や他人に飛び掛かろうとしたとき、買い物などで外にくくりつけて犬を待たせるときなども、「待て」という命令コマンドが有効です。
「待て」だけでなく、同時に「おすわり」「ふせ」も覚えさせるようにしましょう。なぜなら、座ったり伏せたりした状態のほうが犬は長時間待ちやすいからです。道路に飛び出しそうなときは「待て」だけでかまいませんが、買い物をするときには「待て。おすわり」といった具合に命令するとよいでしょう。
ちなみに、「待て」「おすわり」「ふせ」とセットで教える命令コマンドに「お手」「おかわり」「ちんちん」などがあります。しかし、こうした命令コマンドを教える必要性は特にありません。これらはただの芸だからです。ただし、愛犬とのコミュニケーションの一環として教えるのであれば良いでしょう。
犬の無駄吠えをやめさせる3つの方法とは?
きちんとしつけて、犬の無駄吠えをやめさせることも大切です。実は一口に犬の吠えと言っても「要求吠え」「威嚇吠え」「恐怖吠え」の3種類があります。そして、吠えの種類によって、しつけ方が異なるのです。まず、「要求吠え」は犬を甘やかしすぎたときに起こります。犬が吠えたとき、黙らせるためにおやつをあげたり、遊んであげたりしていると、犬は吠えさえれば自分の要求が通ると勘違いしてしまいます。そして、犬は飼い主よりも自分がえらいと思い込んでしまうのです。犬が吠えてもかまいすぎないことが大切です。また、「要求吠え」の後でおやつをあげるとしても、「待て」と命令コマンドを出し、すぐに犬の要求を叶えないようにしましょう。これで飼い主側に主導権が移ります。すると、次第に「要求吠え」が減っていくでしょう。
次に「威嚇吠え」は犬自身が危険を感じたり、興奮したりしたときに起こります。例えば、知らない人が来たり、突然チャイムが鳴ったりしたときなどが当てはまります。犬に「威嚇吠え」をやめさせるには危険でないことを知らせることです。そして、吠えたらすぐに「待て」「ふせ」などの命令コマンドを出し、犬の注意をそらし、吠えさせないようにします。そして、犬が吠えるのをやめたら、ほめてあげます。これを繰り返すことで「威嚇吠え」がなくなっていくのです。絶対にやってはいけないことは、犬が吠えているときに落ち着かせるために撫でることです。犬は「吠え」=よいことだと勘違いして、「威嚇吠え」をやめなくなります。ちなみに、体が痛いときも「威嚇吠え」することがあります。いつもと違うようであれば、動物病院に連れて行き診てもらうようにしましょう。
最後に「恐怖吠え」はその名の通り、犬が恐怖を感じると起ります。例えば、台風や雷、花火などに反応して吠えるのです。普段吠えない犬が雷の音と共に吠え始めたら、「恐怖吠え」だと考えてよいでしょう。犬が恐怖で吠え始めたら、落ち着ける場所に移します。そして、安心させるために撫でてあげます。すると、犬の「恐怖吠え」は治まります。
しつけと同時にスキンシップをはかりたい理由とは?
しつけと同時に犬とのスキンシップもはかるようにしましょう。なぜなら、信頼関係を築くのに役立つからです。また、犬の身体に何か異常があればすぐに察することができるようになります。犬の健康管理も飼い主の大切な役割なのです。
また、「犬の歯を磨く」といったケアも飼い主自身が行うことができるようになります。もちろん、動物病院などで犬の歯を磨くことは可能です。また、人間と違って犬はなかなか虫歯にはなりません。しかし、歯周病にはなります。歯周病を防ぐためには、2~3日に一度は歯磨きをして歯垢を取り除かなくてはなりません。そのため、飼い主がこまめに歯を磨いてあげることが大切なのです。
上手なスキンシップにはポイントがあります。まず、ゆっくりと円を描くように優しく撫でることです。力が強いと、犬は痛いと感じ、飼い主に触られることが苦痛になります。飼い主が触ろうとしても、逃げるようになってしまうでしょう。次に、興奮しているときではなく、リラックスしているときに行なうことです。最後に、犬が触られてうれしい部位を撫でることです。顎の下、腰付近、耳の付け根、首、おなか、脇の下にはツボがあるため、犬は触られることを喜びます。
犬をしつけるときに共通するポイントとは?
効果的に犬をしつけるときに共通しているポイントがあります。1つ目は短い言葉で叱ることです。例えば、「ダメ!」などの言葉がよいでしょう。なぜなら、成長途中の子犬の場合、「〇〇しちゃダメよ」といった言い方では理解できないからです。また、あるときは「ダメ!」で、またあるときは「ノー!」という叱り方だと犬は混乱してしまいます。短い言葉で叱るにしても、同じ言葉で叱るようにしましょう。家族間で叱る言葉が違うのも同様によくありません。どのような言葉で叱るか、家族で決めておくようにしましょう。
2つ目はかまいすぎないことです。愛犬がかわいいからといって、一々かまっていると、犬は飼い主のことを自分の家来だと勘違いしてしまうからです。また、ときには犬を無視することも必要です。例えば、犬が散歩をしたいとせがんできたときは、無視するようにします。すると、犬はせがんでも散歩には連れて行ってもらえないと理解します。すると、ワガママな行動を取ることをやめます。ここで間違って散歩に連れて行ってしまうと、吠えれば要求が通ると勘違いしてしまうのです。同様に甘えて飛びついてきたり、ご飯が食べたいからといって吠えたりしたときも無視するようにしましょう。
犬のしつけでやってはいけないこととは?
犬をしつけるときにやってはいけないことがあります。1つ目は力ずくで犬を従わせようとすることです。犬が悪いことをしたからと言って、大声で怒鳴ったり、殴ったり叩いたりすると逆効果です。犬の個性にもよりますが、人間不信になって怯えるか反抗するかします。
2つ目は一貫性のない叱り方をすることです。例えば、普段はしっかり叱っているのに、飼い主の気分がいいときには叱らなかったとします。すると、犬は悪いことをしたのか、よいことをしたのか分からなくなります。その結果、犬に悪い習慣やクセがついてしまうのです。また、犬が同じ行動を取っても、母親は叱らず父親は叱るといったちぐはぐな対応を取るのもよくありません。
3つ目は犬に上下関係を勘違いさせる行為です。犬は上下関係を重んじる生き物です。そのため、飼い主を下と見なすと言うことを聞かなくなります。例えば、犬を抱っこして犬の目線のほうを高くしてしまうと、犬は自分のほうが飼い主よりも上の立場だと思い込んでしまいます。また、寝たまま犬を抱っこする行為もよくありません。犬はお腹を見せると、自分に服従している証だと捉えてしまいます。
しつけは愛犬のためにもなること
以上、トイレトレーニングから無駄吠えまで、犬のしつけ方についてご紹介しました。犬のしつけを効果的に行うには、生後2~3カ月後から始めることが大切です。なぜなら、成犬になってからではなかなか言うことを聞いてくれないからです。1子犬のうちからしっかりとしつけることによって、無駄吠えやトレイ以外での排泄といったことがなくなるでしょう。こうしたしつけは飼い主だけでなく、犬にもメリットをもたらします。例えば、「待て」などのしつけをしておくと、散歩中犬が急に道路に飛び出すといったことを防げます。それは犬の身を守ることにもつながるのです。飼い主自身のためにも愛犬のためにも、記事を参考にしつけてみてはいかがでしょうか。