犬の散歩の正しいやり方は?持ち物から最適な回数、マナーまで散歩のコツを徹底解説
犬を飼っている人にとって、愛犬との散歩は癒しの時間でもありますよね。楽しそうに歩き回る愛犬を見ていると、自然と顔もほころんでしまうものです。しかし、実は散歩のやり方次第では愛犬に負担をかけたり、周囲から白い目で見られたりする可能性があることを知っているでしょうか。散歩はただ長時間歩き回れば良いというわけではなく、その子に合ったやり方やマナーを心がけることが大切なのです。
そこで今回は、意外と見落としがちな散歩の正しいやり方について、散歩の必要性や最適な時間、持ち物や守るべきマナーなど基本的なことから解説していきます。愛犬と楽しい時間を過ごすためにも、普段の散歩が正しく行えているかどうかチェックしてみてくださいね。
犬に散歩が必要な理由は4つ!
犬を飼うには散歩が必要だと一般的に知られていますが、そもそもなぜ散歩が必要なのでしょうか。理由として主に「肥満予防」「刺激による脳の活性化」「飼い主との信頼関係を深める」などが挙げられるので、それぞれ詳しく確認しておきましょう。
- 肥満予防
毎日たっぷりとご飯を食べる犬の場合、運動量が不足すると摂取したカロリーが余って脂肪が付きやすくなります。そう、人間と同じように犬も「肥満」になってしまうのです。過度な肥満は足腰に負担をかけてケガがちになったり、糖尿病や心血管疾患など恐ろしい病気を招いたりするため注意しなければなりません。肥満を防ぐには、適度な運動が何より効果的です。毎日の散歩でエネルギーをしっかり消費することで、余分な脂肪が付きにくくなります。 - 刺激による脳の活性化
人間と同じように、犬も老化によって認知症を発症することがあります。認知症の予防には脳を刺激して神経を活性化させることが効果的であり、普段見慣れない場所や物に触れられる散歩は非常に役立ちます。また、さまざまな刺激を繰り返し受けていると学習効果も得られ、犬の問題解決能力を高める効果も期待できるでしょう。毎日決まったコースを散歩するのも良いですが、刺激を増やすために定期的に新しい場所へ行ってみるのもおすすめです。 - 飼い主との信頼関係を深める
犬にとって、大好きな飼い主と外を歩き回る時間はうれしいもの。散歩ならではの遊びやしつけなどもあり、家の中や庭とはひと味違うコミュニケーションをとることができます。また、散歩は自分の縄張りをパトロールする意味もあり、リーダーである飼い主と一緒に行動することで信頼関係を深めるはたらきもあります。
犬の散歩に最適な時間帯・距離・回数は?
犬を散歩させる場合、時間帯にも注意が必要です。紫外線は犬の目にダメージを与え、白内障などを引き起こす恐れがあります。このため、日差しが強い昼間は避けて早朝や夕方に行ったほうが良いでしょう。ただし、真っ暗になってからの散歩は事故など昼間とは別の危険もあるため、安全に十分配慮する必要があります。車や自転車との接触を避けるために、反射板・ライトなどを身に付けておきましょう。
最適な散歩の距離・時間は、犬種によって異なります。チワワやトイプードルなどの小型犬であれば1日1回の散歩を1~2kmほど、20~30分程度をかけて行うのが目安です。小型であれば家の中の運動で十分と誤解されがちですが、普段とは異なる環境で刺激を与えるためにも散歩で適度な運動をさせましょう。中型犬は、ボーダーコリーやビーグルのような猟犬・牧羊犬であれば多めの運動が必要です。1回あたり20~30分を目安に、1日2~3回の散歩を行いましょう。余裕があれば、散歩中にボールやフリスビーを使って1時間ほど激しい遊びをするとなお良いです。キャバリアなどの愛玩犬であれば、小型犬と同じくらいの運動量で問題ありません。
ゴールデンレトリバーやバーニーズ・マウンテン・ドッグ、ダルメシアンなどの大型犬は、体が大きい分多くの運動が必要というイメージがありますよね。しかし、体が重い大型犬は激しい運動をすると骨や関節に負担がかかり、ケガの原因になることも。このため以外にも過度の運動は不要で、のんびり歩く散歩を1回あたり1時間ほど、1日に1~2回行えば十分です。なお、これらはあくまでも一般的に必要な散歩の例であり、すべての子に当てはまるわけではありません。歩く速さや運動の得意不得意は個体差があり、年齢によっても最適な散歩内容は異なります。ケガや病気を抱えている子も、過度な運動は避けたほうが良いでしょう。
大切なのは、愛犬に合った量の散歩をすることです。散歩中に歩かなくなったり、帰宅後すぐにたっぷりと水を飲んで寝床から動かなくなったりしたら、 運動量が多すぎた可能性があります。散歩中の様子をじっくり観察して、愛犬に最適な時間や運動量を見極めましょう。
犬の散歩の必須アイテム
散歩に行くとき、飼い主として必ず持って行きたいアイテムがいくつかあります。まずは愛犬が飼い主から離れないよう、首輪とリードを付けなければなりません。これがなければ犬は自由に走り回り、迷子になるだけでなく他人に噛み付くなどのトラブルを招く恐れがあるので必ず使用しましょう。なお、首輪には「鑑札」を付けておくと安心です。鑑札は市区町村の窓口や動物病院などで愛犬の飼育を登録した際に交付されるもので、登録番号が記載されているため迷子になったとしても見つかりやすくなります。
次に、フンを持ち帰るためのビニール袋も必要です。フンを路上に放置して帰るのはひどいマナー違反であり、必ず持ち帰ってから処分しなければなりません。フンをそのまま入れるとニオイが気になることもあるので、新聞紙でくるんだりニオイをカットしてくれる袋を選んだりすると良いでしょう。オシッコもそのままでは悪臭の原因になって周囲に迷惑をかけてしまうため、その都度洗い流せるようにペットボトルに入れた水も持って行きましょう。水は、散歩中に愛犬に水分補給をさせたいときにも役立ちます。運動量にもよりますが、500mlのペットボトルが1本あればだいたい足りるでしょう。このほか、散歩中に遊べるよう、ボールやフリスビーなどの遊び道具を持って行くのもおすすめです。
飼い主の義務!散歩マナーを守ろう
愛犬の散歩をするときは、ほかの飼い主や通行人に迷惑をかけないよう、マナーを守ることが大切です。犬の散歩については法律や条例で定められているものもあり、自分勝手に行っていると知らないうちに法律違反を犯してしまうかもしれません。次は、必ず守るべき基本的なマナーについてチェックしてみましょう。
- 狂犬病の予防接種を受ける
狂犬病は犬だけでなく人間にも感染する感染症で、ひとたび発症するとほぼ100%命を失う恐ろしい病気です。このため、日本では飼い主に対して、愛犬に毎年1回狂犬病の予防接種を受けさせるように法律で定めています。予防接種を受けるないまま散歩するのは、他人に不安を与えるだけでなく自分や愛犬にとっても危険です。予防接種を受けると「注射済票」が交付されるので、首輪などに付けてから散歩に出かけましょう。 - 必ずリードを付ける
散歩のときは、必ずリードを付けましょう。ノーリードでは、犬が思わぬ行動をしたときにとっさの対処ができません。逃げないからといってノーリードのままでいると、車や自転車と接触したりほかの犬や子どもに飛びかかってケガをさせたりする恐れもあります。このような場合は飼い主が責任を問われて多額の損害賠償を求められることもあるため、リードでしっかり愛犬をコントロールする必要があるのです。 - 勝手にほかの犬に接触しない
フレンドリーな犬の場合、散歩中にほかの犬に近づいてニオイを嗅いだり、じゃれついたりすることがあります。しかし、相手の犬も同じようにフレンドリーとは限りません。怖がりの子や感染症を気にする飼い主もいるので、気軽に接触するのはやめましょう。どうしても接触したい場合は、事前に相手の飼い主に了承を得ておくのがマナーです。 - 排泄物の処理はしっかりと
フンやオシッコなどの排泄物は、そのまま路上に放置してはいけません。不衛生なのはもちろん、悪臭で周囲の住人に嫌な思いをさせてしまう可能性もあります。フンは袋に入れて持ち帰る、オシッコはペットボトルの水でしっかり洗い流すなどして、汚れを残さないことが大切です。トラブルを避けるためにも、普段から他人の家の塀や所有地などで排泄させないようしつけておくと良いでしょう。 - 自転車に乗りながら散歩しない
自転車に乗りながら散歩している飼い主もいますが、実は法律違反になるので注意が必要です。片手でリードを持っていると自転車を片手運転していることになり、道路交通法違反になります。また、ハンドルにリードをつないでいる場合も、とっさのときに犬の動きをコントロールできなくなり、動物愛護法違反に該当する可能性があるのです。めったに人や犬がいない広い空き地などを散歩するときは問題ないこともありますが、一般的な公道を散歩するときは自転車を使わないようにしましょう。
雨の日や真夏・真冬の散歩は要注意!
毎日散歩をしていると、中には雨だったり猛暑日・真冬日だったりするときもあります。このような天候の日の散歩は、どのような注意点があるのでしょうか。それぞれ詳しく見てみましょう。
- 雨の日
雨の日にできる水たまりには、ほかの犬や猫の排泄物が溶け出し、汚れがたまっていることがあります。その水を舐めたり手足の毛にしみ込んだりすると、雑菌やウイルスに感染する恐れもあるため注意が必要です。また、水に濡れながら長時間散歩すると肉球がふやけて傷が付きやすくなります。犬の皮膚は人間に比べて非常に薄く、傷ができると感染症や皮膚炎にかかりやすくなるので、防水カバーをつけたりこまめに肉球を拭いたりするなどしっかりケアしてあげましょう。毛が濡れたままにしておくと皮膚炎や嫌なニオイの原因になることもあるので、散歩後はしっかりタオルドライしたりレインコートを着せたりすることも大切です。 - 猛暑日
夏の暑い日は、犬も人間と同じように熱中症になることがあります。特にバーニーズ・マウンテン・ドッグなど寒い地方が原産の犬種は体温をうまく放出できないため暑さに弱く、熱中症になりやすいので注意が必要です。ほかの犬種も炎天下で長時間の運動をすると逆に健康を損なうことにもなりかねないので、早朝や日が沈んだ後などできるだけ涼しい時間帯を選んで散歩に行きましょう。散歩中はこまめに水を飲ませたり、濡らしたタオルや冷却作用のあるペット用のグッズを使って体温を下げてあげたりすることも大切です。また、真夏のアスファルトは非常に温度が高くなっており、肉球が火傷をしてしまうこともあるので注意しましょう。 - 真冬日
暑い日にアスファルトを歩くと火傷をするように、寒さが厳しいときに地面や雪の上を直接歩くと凍傷・しもやけになることがあります。肉球へのダメージを軽減するためにも、日中の気温が高くなった時間帯に散歩に行くと良いでしょう。ペット用の保湿クリームなども市販されているので、散歩の前後にケアしてあげるのもおすすめです。また、毛が薄く寒さに弱い犬種の場合は、ペット用の防寒具を着せるなど体温を保つ工夫をしておきましょう。
散歩デビューはいつから?高齢犬にも必要?
犬の散歩は、ワクチン接種が終わってから始めるのが基本です。生まれて間もない子犬は感染症への十分な免疫を持っておらず、ワクチンを接種しないまま散歩に行くとさまざまな病気をもらってしまう恐れがあります。ワクチン接種は生後14週ほどで完了するので、散歩デビューはそれ以降にすると良いでしょう。ただし、犬は生後3~12週で世の中に適応する「社会化期」を迎えるとされています。この時期に家の中だけで過ごすと、さまざまな物事を経験できず、社会性や柔軟性が不十分になってしまう可能性があるのです。社会化期に十分な経験を積ませるためにも、ワクチン接種が完了するまでは抱っこやキャリーに入れるなど、ほかの犬や地面に触れないようにして散歩に連れ出すのもおすすめです。
また、高齢犬になると散歩のやり方にも注意が必要です。高齢犬でも認知症予防や筋力維持のために散歩は必要ですが、さまざまな機能が衰えた高齢犬に無理をさせてはいけません。長距離の移動を避けたり、キャリーに入れて連れ出したりするなど、負担を与えない方法で散歩を行うようにしましょう。体温調整も難しくなるため、猛暑日や真冬日の散歩は避けたほうが無難です。
散歩中の問題行動への対処法
犬は散歩が大好きというイメージがありますが、中には家から出るのを嫌がったり、散歩中に歩かなくなったりする子もいます。このような場合、無理やり引きずって散歩に連れて行ってはいけません。たとえば「以前の散歩で怖い目に遭った」「飼い主に構ってもらいたい」「体に不調がある」など、さまざまな原因が考えられるためです。無理に散歩に連れて行くと、飼い主と愛犬との信頼関係が損なわれたり、深刻な病気やケガを引き起こしたりする恐れがあります。まずは愛犬の様子をじっくりと観察し、息が上がっている、足を引きずっているなどの異常がないかどうかチェックしましょう。異常が見られたり、問題行動が長引いたりする場合は、かかりつけの動物病院で診察してもらうことも必要です。
正しい散歩で愛犬と楽しい時間を過ごそう
散歩は、犬の健康を守るだけでなく、飼い主との仲を深めるためにも欠かせないものです。しかし、犬種ごとに必要な運動量が違いや、守るべきマナー、天候による注意点など意外と知らないことも多いのではないでしょうか。大切な愛犬に長く健康に過ごしてもらうためにも、今回紹介した散歩の基本を押さえながら毎日外に連れ出してあげましょう。ただし、飼い主や愛犬が無理をし過ぎるのは厳禁です。天気が悪い日や体調が悪い日、忙しい日などは無理に出かけず、家の中でたっぷり遊んであげるという方法もあります。
大切なのは、飼い主自身も楽しみながら愛犬とコミュニケーションをとること。毎日散歩を続けるのは大変かもしれませんが、周囲にも気を配りながら一緒にいられる時間を大切にしましょう。